家創りの見積   

建築家とお客様が打合せを重ね、平面、立面プランが決定すると、次はその家の工事費を見積ます。
当然、資金計画を綿密にたてて、希望建築費を確認したうえでのスタートです。

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これから、建築家と施工する工務店の力量が発揮されます。
コストパホーマンスの始まりです。

企画住宅のように、はじめから仕様する設備品が決められていたり、間取りが似ていたら、見積を出すのも早くて簡単かもしれません。
友人の勤務していた地場の建築会社は坪単価×シリーズ価格で見積を出していました。企画住宅の場合はそれもありかもしれません。

でも、私が「お世話し隊」で建築家・工務店とお客様と一緒に創りあげる家は一軒、一軒間取りも仕様も違います。
当然です。そこに住むご家族の夢も希望も違うのですから。
建築地も違えば方位も違う。一からのプランニングに、一からの見積です。少々お時間を頂きます。

見積といえば、10数年前の住宅営業新人時代に恥ずかしい経験をしました。
資料請求のお客様に資料を届けるよう所長から指示がありました。
35歳で初めての会社勤め。ゼンリンの地図の見方もよく分かりません。
西合志の住宅地。やっとたどり着いてもご不在です。
仕方なくポストに資料を入れて帰りました。
そして、何回か通った末にやっと奥様にお話を出来る時がきました。
私の性格上、初めての方でも、特に女性とはすぐに仲良くなれる特技がありましたので、建築計画に関して、色々情報を頂きました。

ご主人は弁護士さんです。熊本市内の京町に土地は購入済み。
現在、住宅の本の資料請求のハガキを沢山出したので、大手、地場合わせて7社くらいの営業マンが訪問してくるということ。
ご主人と会って希望を聞いてもその後仕事に結びつくかはまったく分かりません。

京町といえば、裁判所があるので弁護士事務所や司法書士事務所が多いところと所長から教えてもらって「なるほど!」と感心するくらいの住宅営業というより、世間の事も良く知らない専業主婦出身の営業マンです。

さ~これからどうしよう?と考えて私一人では無理なので(無理というよりさっぱり建築の事が分からない状態)設計の課長に最初から同行してもらって訪問する事に。

課長も私も人当たりは良いので、新人ながらも7社競合の最後の2社までに残りました。

これからが大変です。
見積に時間がかかるのです。1週間後にはどちらかの会社に決めます。と
弁護士のご主人に言って頂いたのは嬉しかったのですが・・・。
その当時の会社に見積システムのソフトなど無かったのです。
下請け(私は嫌いな言葉です)の建築会社に見積を依頼しても、2週間ぐらいはかかります。
どうする??
新人社員と新米設計課長が取った手段。
嘘の見積金額を羅列するわけにはいきません。悩んだあげく、最後の決断。
「建築費一式3,000万円」という一枚の見積書です。

競合相手が3,200万円で出してきていたことを奥様から聞いていたので。まるで根拠の無い勝負価格を提示したのです。

結果は敗北。

当然です。建築トラブルも弁護士として関わっていらっしゃるご主人が「一式3,000万円」で納得する訳がありません。

後で分かったことですが、敗北の原因はもうひとつあったのです。
それは、契約が決まった建築会社の設計士が書いた完成予想の外観パース。
手書きで素敵で、ご夫婦とも一目ぼれだったそうです。

こちらの提案プランはすべてキャドの機械的な図面。

その設計士の書いた手書きの優しいパースがご夫婦に感動を与えたのでしょう。

そんな失敗談も今は懐かしく思い出されます。

S様。見積が出るまで少々時間はかかりますが、楽しみにお待ちくださいね。
一歩ずつ夢が現実のカタチになっているのですから。
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by k2kikiya | 2006-12-13 18:18 | 家づくり | Comments(0)

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