残り香   

ひとが聞いたら変人と思うかもしれない行動。

父は、救急車で運ばれて、病院で亡くなった。
父の部屋の中は、生きていた時のままの状態。
ベットも布団も枕も。
部屋の片づけをしなければいけない日々。
その時、数日間父のベットで寝た。

父の匂いがするベットで。
もう、この世に存在しない父。なのに父の体温を感じる、匂いを感じる。

不思議と、安心した。まだここにいると。

それから、一週間荷物の処分に追われ疲れ果てた。数点だけ遺品として残した。

その時思った。
これから私も、いつか死ぬ。
父の荷物のかたづけが大変だった事を教訓に、自分の私物の整理は意識しておこうと。

そして、昨年12月に愛犬が死んだ。
病院の先生から、心臓病でいつ死んでもおかしくないと宣告はされていた。
なので、「今日も生きていてくれてありがとう」の毎日だった。

でも、後悔は多いに残る。
仕事に追われ、ゆっくりと一緒にいる時間も少なかった。

満月の夜にかぐや姫のように天に昇った娘とは、毎日一緒に寝ていた。
13年間ずっと。

なので、娘の匂いを、すぐには消したくなかった。
残り香に癒されていた。
半年間、同じシーツで寝ていた。本当に異様で、不衛生な行為かもしれない。
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でも、もう区切りをつけないといけないと思い、今日シーツを洗うことにした。
お骨も、今年のお盆に山の家の眺めの良い所に埋める予定。

ひとつの愛情物語に幕を下ろすのだ。

他人にとっては「臭い」かもしれないけど、私にとっては、亡くなった愛しい娘(犬)の残り香は、すぐには消したくないものだった。

時間と共に、消えていく匂い。
でも、愛しい存在をすぐには消したくない。

しかし、前に進まなくては。

そう、私は天国に行った人たちの分まで、生きると誓ったのだから。
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by k2kikiya | 2015-05-31 13:39 | ひと | Comments(0)

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